建設業許可の取得要件・費用・手順を知りたい方へ——「元請けから来月以降は許可業者にしか発注できないと告げられた」「500万円を超える工事の話が来たのに、許可がなくて断るしかなかった」——そんな経験はありませんか。この記事では、建設業許可の取得に必要な6つの要件・必要書類・費用・申請の流れを、建設業専門の行政書士がわかりやすく解説します。一人親方でも取れる条件と自己チェックリスト付きです。
📌 この記事のポイント
- 500万円以上の工事(建築一式は1,500万円以上)を請け負うには建設業許可が必要
- 取得要件は「経管・専技・誠実性・財産的基礎・欠格要件・社会保険加入」の6つ
- 知事許可の法定手数料は新規9万円、審査期間は約30〜45日
- 一人親方(個人事業主)でも、経管と専技の要件を1人で兼任できれば取得可能
- 許可取得後はCCUS登録と組み合わせることで経営事項審査のW点加点も狙える
建設業許可が必要な工事とは?500万円の壁と軽微な工事の基準
建設業法第3条は、建設業の営業を行う者は原則として許可を受けなければならないと定めています。ただし「軽微な建設工事のみを請け負う場合」は例外として許可不要とされています。

軽微な建設工事の金額基準
| 工事の種類 | 軽微な工事の基準(許可不要) |
|---|---|
| 建築一式工事 | 請負代金1,500万円未満 または 延べ150㎡未満の木造住宅 |
| それ以外の専門工事 | 請負代金500万円未満(消費税込) |
(出典:国土交通省「建設業許可の仕組み」参照日:2026-04-14)
消費税込みの金額で判定する点に注意が必要です。税抜き454万円の工事も消費税10%を加えると499.4万円となり、許可不要の範囲ぎりぎりになります。
許可なしで工事を受注するとどうなるか
軽微な工事の範囲を超えた工事を許可なしで請け負った場合は建設業法違反となり、3年以下の懲役または300万円以下の罰金の対象になります。また、許可取消し・営業停止命令が下されることもあります。
現在、建設業許可を持つ業者数は 483,700業者(令和6年度末、前年比+0.9%・2年連続増加) に達しており、許可取得は業界の標準になりつつあります。
(出典:国土交通省「令和6年度末の建設業許可業者数」参照日:2026-04-14)
許可の種類の選び方:知事/大臣・一般/特定・29業種
建設業許可には「誰が許可を与えるか(知事/大臣)」と「下請工事の規模(一般/特定)」の2軸があります。
知事許可 vs 大臣許可
| 種別 | 取得条件 | 法定手数料(新規) |
|---|---|---|
| 知事許可 | 営業所が1つの都道府県のみ | 9万円 |
| 大臣許可 | 2つ以上の都道府県に営業所がある | 15万円 |
ほとんどの中小建設事業者・一人親方は知事許可の取得になります。営業エリアが広くても、営業所(登記上の事務所)が1都道府県内に留まる場合は知事許可で構いません。
一般建設業 vs 特定建設業
| 種別 | 取得が必要なケース |
|---|---|
| 一般建設業 | 下請への発注が5,000万円未満(建築一式:8,000万円未満)の場合 |
| 特定建設業 | 下請への発注が5,000万円以上(建築一式:8,000万円以上)の場合 |
※ 令和7年2月1日施行の政令改正後の現行値。直前の旧基準は4,500万円・7,000万円(令和5年改正後〜令和7年1月末)、さらに前は3,000万円・4,500万円でした。
(出典:国土交通省「建設業許可の仕組み」参照日:2026-04-15)
元請で大規模工事を受注し大手ゼネコン並みの下請発注をしない限り、一般建設業で問題ありません。
29業種一覧
建設業の29業種をすべて見る
| 種別 | 業種名 |
|---|---|
| 一式工事 | 土木一式工事、建築一式工事 |
| 専門工事 | 大工工事、左官工事、とび・土工・コンクリート工事、石工事、屋根工事、電気工事、管工事、タイル・れんが・ブロック工事、鋼構造物工事、鉄筋工事、舗装工事、しゅんせつ工事、板金工事、ガラス工事、塗装工事、防水工事、内装仕上工事、機械器具設置工事、熱絶縁工事、電気通信工事、造園工事、さく井工事、建具工事、水道施設工事、消防施設工事、清掃施設工事、解体工事 |
申請できるのはこの29業種の中から、実際に施工する工事の種類のみです。複数業種の同時申請も可能です。
取得に必要な6つの要件【自己チェックリスト付き】
建設業許可の取得には、以下6つの要件をすべて満たす必要があります。
(出典:国土交通省「建設業許可の要件」参照日:2026-04-14)

① 経営業務管理責任者(経管)の設置
法人は常勤役員の1人、個人は本人または支配人が、以下のいずれかの経験を持つ必要があります。
| パターン | 要件 |
|---|---|
| 1 | 許可を受けようとする建設業で5年以上の経営業務管理経験 |
| 2 | 許可を受けようとする建設業以外の建設業で7年以上の経営業務管理経験 |
| 3 | 経管に準ずる地位での6年以上の経営補佐経験 |
| 4 | 2年以上の役員経験+5年以上の財務・労務・運営の担当経験 |
「経営業務管理経験」として認められる証明書類
- 法人の役員(取締役・代表取締役等)であったことを証明する登記事項証明書
- 個人事業主であった場合は確定申告書(第一表)の写し(各年度分)
- 建設業許可通知書・許可申請書の写し(許可業者での経験を証明する場合)
- 工事請負契約書・注文書・請求書等(経験期間・業種を確認するため)
経験期間の証明は「年数ぶんの書類が原則必要」で、書類が残っていない期間は認められません。経験年数がギリギリ足りるか不安な方は、早めに行政書士へ相談されることをおすすめします。
✅ 自己チェック①: 自社(自分)に5年以上の経営管理経験を持つ常勤の人物がいますか? → はい / いいえ
② 専任技術者(専技)の設置
各営業所に常勤で1人以上の専任技術者を置く必要があります。一般建設業の場合、以下のいずれかを満たす人物が必要です。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 学歴+実務経験 | 指定学科(建設業に関連する学科)修了後、高卒は5年以上・大卒は3年以上の実務経験 |
| 実務経験のみ | 許可を受けようとする業種に関して10年以上の実務経験 |
| 国家資格 | 建設業法・技術士法・電気工事士法等に基づく所定の資格保有(例:施工管理技士、建築士など) |
業種別・専任技術者として認められる主な国家資格一覧
どの資格が使えるかは許可を受けようとする業種ごとに異なります。以下の表は、主要10業種と対応する代表的な国家資格の例です。
| 業種 | 主な国家資格(一般建設業の専任技術者として認められるもの)の例 |
|---|---|
| 土木一式工事 | 1・2級建設機械施工管理技士、1・2級土木施工管理技士、技術士(建設・農業土木・水産土木・森林土木) |
| 建築一式工事 | 1・2級建築施工管理技士、1・2級建築士 |
| 大工工事 | 1・2級建築施工管理技士(躯体・仕上げ)、1・2級建築士、技能検定「建築大工」1級(または2級+実務3年) |
| 左官工事 | 1・2級建築施工管理技士(仕上げ)、技能検定「左官」1級(または2級+実務3年) |
| とび・土工・コンクリート工事 | 1・2級建設機械施工管理技士、1・2級土木施工管理技士、1・2級建築施工管理技士(躯体)、技能検定「とび」1級(または2級+実務3年) |
| 塗装工事 | 1・2級建築施工管理技士(仕上げ)、技能検定「塗装」・「建築塗装」・「金属塗装」1級(または2級+実務3年) |
| 管工事 | 1・2級管工事施工管理技士、給水装置工事主任技術者(実務1年)、建築設備士(実務1年) |
| 電気工事 | 1・2級電気工事施工管理技士、第1種電気工事士、第2種電気工事士(実務3年)、電気主任技術者(実務5年) |
| 内装仕上工事 | 1・2級建築施工管理技士(仕上げ)、1・2級建築士、技能検定「内装仕上施工」1級(または2級+実務3年) |
| 解体工事 | 1・2級建築施工管理技士(建築・躯体)、1・2級土木施工管理技士、技術士(建設)、解体工事施工技士 |
補足1(技能検定2級の取扱い): 技能検定の2級合格者は、合格後3年以上の実務経験を積んで初めて専任技術者の要件を満たします(1級合格者は実務経験不要)。
補足2(電気工事業の特例): 電気工事業に限り、無資格者の実務経験(10年)のみでは専任技術者になれません。何らかの資格が必須です。
補足3(指定建設業): 土木一式・建築一式・電気工事・管工事・鋼構造物・舗装・造園の指定建設業7業種で特定建設業の専任技術者になるには、実務経験は認められず1級の国家資格または大臣認定者が必要です。
(出典:国土交通省「建設業法における配置技術者となり得る国家資格等一覧」参照日:2026-04-15)
✅ 自己チェック②: 取得したい業種で、資格保有または実務経験を持つ常勤の技術者がいますか? → はい / いいえ
③ 誠実性
申請者(法人の場合は役員等を含む)が、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかでないこと。刑事罰を受けた等の事実がなければ原則として満たせます。
✅ 自己チェック③: 自社の役員・本人に、建設業での不正・不誠実行為の経歴はありませんか? → はい(該当なし)/ いいえ(要確認)
④ 財産的基礎・金銭的信用
一般建設業の場合、以下のいずれか1つを満たせばOKです。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 自己資本 | 500万円以上(直前の決算書で確認) |
| 資金調達能力 | 500万円以上の融資証明書(金融機関発行) |
| 継続営業実績 | 申請業種での過去5年間の許可業者としての継続実績 |
設立直後でも金融機関の融資証明書があれば申請できます。なお、特定建設業では資本金2,000万円以上かつ自己資本4,000万円以上が必要で、要件がより厳しくなります。
✅ 自己チェック④: 自己資本500万円以上、または500万円の融資証明を取得できますか? → はい / いいえ
⑤ 欠格要件に該当しないこと
申請者・役員等が以下に該当しないことが必要です(主な欠格要件)。
- 成年被後見人・被保佐人、または破産者で復権を得ていない者
- 建設業法等の違反で罰金刑以上の刑に処せられ、その刑の執行が終わってから5年を経過していない者
- 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行が終わってから5年を経過していない者
- 暴力団員または暴力団員でなくなってから5年を経過していない者
- 過去5年以内に建設業許可を取り消された者
✅ 自己チェック⑤: 自社の役員・本人に上記の欠格事由はありませんか? → はい(該当なし)/ いいえ(要確認)
⑥ 社会保険への加入(2020年施行の法改正で実質義務化)
2020年(令和2年)10月の建設業法改正により、社会保険への加入が許可要件に追加されました。適用を受ける事業所は必ず加入していなければなりません。
| 保険の種類 | 加入義務 |
|---|---|
| 健康保険 | 常時5人以上の従業員がいる個人事業、または法人は原則加入義務 |
| 厚生年金保険 | 同上 |
| 雇用保険 | 労働者を1人以上雇用する場合に加入義務 |
一人親方(従業員なし)の場合は国民健康保険・国民年金で問題ありません。自社の状況に応じた保険加入が求められます。
✅ 自己チェック⑥: 適用される社会保険に加入済み(または一人親方として国保・国年加入済み)ですか? → はい / いいえ
📋 6要件チェックまとめ
- ①〜⑥すべて「はい」→ 申請可能。書類収集に進みましょう
- 1つでも「いいえ」がある→ 要件充足の方法を専門家に相談することをおすすめします
申請の必要書類一覧(法定書類・添付書類)
申請書類は大きく「法定書類(様式あり)」と「添付書類(証明書類等)」に分かれます。
法定書類(申請書類)
| 書類名 | 様式番号 |
|---|---|
| 建設業許可申請書 | 第1号 |
| 工事経歴書 | 第2号 |
| 直前3年の各事業年度における工事施工金額 | 第3号 |
| 使用人数 | 第4号 |
| 誓約書 | 第6号 |
| 常勤役員等証明書(経管) | 第7号 |
| 専任技術者証明書 | 第8号 |
| 財務諸表(個人用・法人用各種) | 第15〜19号 |
| 営業の沿革 | 第20号 |
| 所属建設業者団体 | 第20号の2 |
添付書類(証明書類等)
添付書類の全一覧を見る
法人の場合:
- 登記事項証明書(法務局発行・3ヶ月以内)
- 定款の写し
- 役員全員の身分証(住民票等)
- 経管・専技の経歴証明書類(契約書、請書、注文書等)
- 専技の資格証明書(合格通知書・免許証等)
- 健康保険・厚生年金・雇用保険の加入証明書
- 納税証明書(消費税・地方税)
- 営業所の使用権原を証明する書類(賃貸借契約書等)
個人事業主の場合:
- 本人確認書類(住民票)
- 確定申告書(直前5年分・経管経験証明用)
- 工事請負契約書・注文書等(業種経験の証明用)
- 社会保険加入証明書(または国民健康保険証・年金手帳等)
- 納税証明書
- 営業所の使用権原証明書類
書類収集は都道府県の許可行政庁の「申請の手引き」(東京都の場合100ページ超)に基づいて行います。手引きは各都道府県の建設業担当窓口またはウェブサイトで入手できます。
書類収集〜許可取得までの月別スケジュール例
知事許可(一般建設業・新規)を自己申請または行政書士に依頼する場合、書類準備から許可証受領まで約3ヶ月を目安にしてください。以下はその標準的な流れです。
全体スケジュール(3ヶ月モデル)
| 時期 | 主な作業 | ポイント |
|---|---|---|
| 1ヶ月目 | 要件確認・書類の洗い出し・長期取得書類の手配 | 収集に時間がかかる書類を先に動かす |
| 2ヶ月目 | 書類収集・申請書作成・GビズID取得 | 残高証明書は申請直前に取得 |
| 3ヶ月目 | 申請・審査待ち・許可証受領 | 知事許可の審査期間は30〜45日 |
各書類の取得先・取得日数の目安
| 書類 | 取得先 | 取得日数の目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 登記事項証明書(法人) | 法務局窓口・オンライン(かんたん証明書請求) | 窓口:即日 / 郵送:1〜3日 | 申請日から3ヶ月以内のもの |
| 確定申告書の写し(個人) | 税務署(開示請求)または自社保管分 | 自社保管:即日 / 税務署開示請求:1〜2週間 | 原本を紛失した場合は早めに開示請求を |
| 住民票(役員・個人事業主) | 市区町村窓口 / コンビニ(マイナンバーカード利用) | 即日 | 発行から3ヶ月以内のもの |
| 納税証明書(都道府県税) | 都道府県税事務所(窓口・郵送) | 窓口:即日〜当日 / 郵送:3〜7日 | 法人事業税または個人事業税 |
| 資格証明書(施工管理技士等) | 本人保管 / 紛失時は試験機関へ再交付申請 | 保管分:即日 / 再交付:1〜2ヶ月 | 紛失の場合は最優先で再交付申請を |
| 残高証明書(500万円以上) | 取引銀行 | 数日〜2週間 | 有効期限あり(東京都:発行から1ヶ月以内)。申請直前に取得する |
| 融資証明書(融資可能証明) | 取引銀行 | 2週間〜1ヶ月 | 銀行の審査が入るため早めに相談 |
| 工事請負契約書・注文書等 | 自社保管 | 即日(保管分) | 経管・専技の経験年数ぶんの書類が必要 |
| 社会保険加入証明書 | 年金事務所・ハローワーク | 窓口:即日〜数日 | 健康保険・厚生年金・雇用保険 |
| GビズID(電子申請の場合) | デジタル庁(gbiz-id.go.jp) | 書類申請:約1週間 / マイナンバーカード利用:最短即日 | JCIP電子申請を利用する場合に必要 |
1ヶ月目:要件確認・長期取得書類の手配
- 6つの要件(経管・専技・誠実性・財産的基礎・欠格要件・社会保険)を再確認し、書類の過不足を洗い出す
- 資格証明書を紛失している場合: 試験機関への再交付申請は1〜2ヶ月かかるため、この段階で着手する
- 融資証明書が必要な場合: 銀行との交渉・審査に2週間〜1ヶ月かかるため、早めに取引銀行へ相談する
- 確定申告書を紛失している場合: 税務署への開示請求(写し交付)に1〜2週間かかるため、早期に手配する
- 電子申請を予定している場合はGビズIDプライムの取得手続きを開始する
2ヶ月目:書類収集・申請書作成
- 登記事項証明書・住民票・納税証明書など、窓口・コンビニで即日取得できる書類を収集する
- 工事請負契約書・注文書等の経験証明書類を整理・製本する
- 申請書類(法定様式)の作成・記入を進める
- 残高証明書は申請書類がほぼ整ったタイミングで取得する(有効期限が短いため。東京都の場合は発行から1ヶ月以内)
3ヶ月目:申請・審査待ち・許可証受領
- 都道府県窓口またはJCIP電子申請で提出する
- 補正指示が出た場合は速やかに対応する(補正期間中は審査期間がカウントされないため迅速な対応が重要)
- 知事許可の標準審査期間は30〜45日(東京都の標準処理期間は30日)
- 審査通過後、許可通知書を受領し許可標識の準備を行う
⚠️ スケジュール上の注意点
- 残高証明書・融資証明書は有効期限が短く、取得タイミングを誤ると再取得が必要になります。他の書類が揃ってから最後に取得してください。
- 資格証明書の紛失は最も時間がかかるリスク要因です。専技の資格証の所在を1ヶ月目に必ず確認してください。
- 都道府県や申請時期(繁忙期)によって審査期間は前後します。余裕を持った3ヶ月スケジュールで進めることをおすすめします。
申請の流れ・審査期間・費用の全内訳

申請の流れ
- STEP 1: 許可の種類・業種を確定する(知事/大臣・一般/特定・29業種のどれか)
- STEP 2: 6つの要件を確認・充足する(不足があれば対応策を検討)
- STEP 3: 書類を収集・作成する(1〜2ヶ月を見込む)
- STEP 4: 申請窓口または JCIP(電子申請)で申請
- STEP 5: 審査(知事許可:約30〜45日 / 大臣許可:約90〜120日)
- STEP 6: 許可通知書の受領(許可番号が付与される)
- STEP 7: 許可標識(金看板)を営業所・工事現場に掲示する
※ 審査期間は目安です。都道府県・繁忙期によって前後します。東京都の標準処理期間は30日です。
※ 書類に不備があると補正期間が加わるため、書類作成は余裕を持って進めてください。
JCIP(電子申請システム)の活用
国土交通省の JCIP(建設業許可・経営事項審査電子申請システム) を使えば、申請書類をオンラインで提出できます。
(出典:国土交通省「JCIP電子申請システム」参照日:2026-04-14)
- 開始時期: 2023年1月(電子申請)、同年4月(電子縦覧)
- 利用要件: GビズIDプライムまたはGビズIDメンバー(エントリーIDは不可)
⚠️ GビズIDプライムの取得には申請から数日〜1週間程度かかります。電子申請を予定している場合は早めにGビズIDを取得しておきましょう。
費用の全内訳
| 項目 | 知事許可(新規) | 大臣許可(新規) |
|---|---|---|
| 法定手数料 | 9万円(収入証紙) | 15万円(登録免許税・金融機関納付) |
| 更新・業種追加 | 5万円(収入証紙) | 5万円(収入印紙) |
(出典:国土交通省「建設業許可の申請手数料」参照日:2026-04-14)
⚠️ 大臣許可の登録免許税は、申請却下後も返還されません。 要件の確認を十分に行ってから申請してください。
行政書士報酬の相場(全国目安・事務所によって異なります):
| 許可の種類 | 相場 |
|---|---|
| 知事・一般建設業(新規) | 10〜20万円 |
| 知事・特定建設業(新規) | 15〜25万円 |
| 更新 | 5〜10万円 |
※ 上記は全国相場の目安であり、依頼先事務所によって異なります。事前に必ずご確認ください。
総費用の目安: 知事・一般・新規を行政書士に依頼した場合は法定手数料9万円+報酬10〜20万円=合計19〜29万円程度が目安です。
自己申請 vs 行政書士依頼
| 方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 自己申請 | 行政書士報酬が不要(法定手数料のみ) | 書類作成に数週間〜数ヶ月、不備による再申請リスク |
| 行政書士依頼 | 書類収集・作成を代行、不備リスクが低い | 報酬10〜20万円が発生 |
申請でよくある失敗パターン TOP5 と対策
建設業許可申請の審査期間(知事許可で約30〜45日)中に書類不備があると補正指示が届き、対応・再提出の往復が発生します。許可まで2〜3ヶ月を見込んでいた計画が大幅に遅れるだけでなく、大臣許可では登録免許税(15万円)が一度納付すると却下後も返還されないため、事前の対策が欠かせません。
パターン1:経管の経験証明書類が年数ぶん揃わない
何が起きるか: 経管要件は「5年以上の経営業務管理経験」が原則ですが、審査ではその年数ぶんの裏付け書類が1年ごとに必要です。「昔の書類は捨てた」「10年以上前の契約書は手元にない」といったケースで補正指示になります。
対策: 直近5〜7年分の確定申告書(受付印または電子申告の受信通知付き)を用意する。紛失した場合は申告した税務署に過去分のコピー交付を請求する。工事請負契約書・注文書が手元にない場合は「請求書+入金通帳(または取引明細書)」の組み合わせで代替できる場合がありますが、都道府県によって異なるため事前相談が必要です。
パターン2:専技の資格証・合格証に関する不備
何が起きるか: 施工管理技士等の資格で専技になる場合、資格証(合格通知書・免許証等)の写しまたは原本確認が必要です。よくある不備は①合格証を紛失して提出できない、②監理技術者証の有効期限が切れている(交付日から5年)、③他社・他営業所でも専技として登録されており「専任性」が認められない、の3パターンです。
対策: 資格証の原本を事前に手元に用意し、有効期限を確認する。合格証を紛失した場合は試験機関に再発行を申請する(1〜2ヶ月かかる場合あり)。同一人物が複数の営業所・他社で専任登録されていないか確認する。
パターン3:経管・専技の「常勤性」を証明する書類が不十分
何が起きるか: 経管・専技が「常勤(専任)」であることの証明として、健康保険被保険者証の写し+健康保険被保険者標準報酬決定通知書などが求められます。一人親方の場合は国民健康保険証が使われますが、これだけでは「その会社への常勤」の証明として不十分とされるケースがあります。
対策: 社会保険適用の会社であれば、経管・専技として申請する人物の「健康保険被保険者証の写し」と「標準報酬決定通知書」をセットで用意する。なお、健康保険証の写しを提出する際は「保険者番号」「被保険者等記号・番号」を必ず黒塗り(マスキング)することが義務付けられています。未処理の場合は再提出指示になります。
(出典:国土交通省「保険証の提出の際のマスキング処理について」参照日:2026-04-15)
パターン4:実務経験10年の証明書類が業種・期間ともに不足
何が起きるか: 資格を持たず「10年以上の実務経験」で専技になる場合、申請業種に対応した工事の経験を1年あたり最低1件の裏付け書類で10年分証明する必要があります。「工事はやってきたが契約書が残っていない」「請求書はあるが件名・業種が不明確」といったケースで差し戻しになります。
対策: 契約書・注文書がなくても「請求書+入金通帳(または取引明細書)」のセットで代替できる場合があります。ただし、請求書の件名・内容から申請業種の工事であることが明確に読み取れることが条件です。前職での経験を使う場合は、その会社から「実務経験証明書(様式第九号)」に記名押印してもらう必要があります。
パターン5:社会保険加入証明書が最新でない・加入区分を誤っている
何が起きるか: 令和2年10月の法改正で社会保険加入が許可要件に加わりました。①古い証明書を提出している(直近のものが必要)、②法人化したのに個人の国民健康保険で申請している、③従業員を雇っているのに雇用保険未加入で補正指示を受ける、といった事例があります。
対策: 提出する保険加入証明書は申請日直近のものを用意する。法人・5人以上の従業員がいる個人事業主は健康保険・厚生年金の加入義務があります。未加入の場合は申請前に加入手続きを完了させておきましょう。
💡 共通の対策ポイント
- 申請書類を揃える前に、都道府県の許可行政庁(建設業課等)の事前相談窓口を活用する。事前相談は無料で、窓口担当者が書類の過不足を確認してくれます。
- 「書類が揃っているか不安」「経管・専技の要件がギリギリかもしれない」と感じたら、行政書士に相談するのが時間・費用の両面で効率的です。
許可取得後にやるべきこと(標識掲示・決算届・CCUS活用)
許可を取ったら終わりではありません。取得後には継続的な義務と、受注拡大に向けた活用策があります。
義務1:許可標識(金看板)の掲示
建設業許可を取得したら、営業所と工事現場に許可証明書の内容を記載した標識(いわゆる「金看板」)を掲示する義務があります。標識の大きさや記載内容は建設業法施行規則で定められています。
義務2:決算変更届(毎年)
毎事業年度終了後4ヶ月以内に、決算変更届(工事経歴書・財務諸表等)を許可行政庁に提出する義務があります。提出を怠ると許可更新ができなくなる場合があります。
義務3:変更届(随時)
商号・代表者・営業所・経管・専技に変更があった場合は、変更後30日以内(経管・専技は2週間以内)に変更届を提出する必要があります。
義務4:許可更新(5年ごと)
建設業許可の有効期限は5年間です。更新を忘れると許可が失効し、軽微な工事以外を受注できなくなります。有効期間満了日の90日前〜30日前を目安に更新申請を行ってください(遅くとも30日前までに申請が必要です)。
(出典:国土交通省「建設業許可の仕組み」参照日:2026-04-14)
CCUS(建設キャリアアップシステム)との連携で経審加点を狙う
建設業許可を取得したら、次のステップとして CCUS(建設キャリアアップシステム)への事業者登録も検討しましょう。
CCUSに事業者登録し、カードリーダーを設置して技能者のカードタッチによる就業履歴蓄積措置を実施することで、経営事項審査(経審)のW点(社会性等)に最大15点の加点が得られます(全工事対象で実施した場合。公共工事のみの場合は10点)(令和5年8月改正)。公共工事入札を検討している事業者にとって、建設業許可取得とCCUSの同時整備は受注力強化の両輪です。
👉 関連記事:建設事業者のCCUS導入メリット7選【経審加点・助成金あり】
よくある質問
Q1. 建設業許可は一人親方(個人事業主)でも取れますか?
取得可能です。一人親方の場合、本人が経営業務管理責任者と専任技術者の両方を兼任できれば申請できます。経管要件として5年以上の経営経験(確定申告書や契約書で証明)、専技要件として10年以上の実務経験または資格が必要です。また、社会保険については従業員がいない一人親方は国民健康保険・国民年金の加入で要件を満たします。
Q2. 建設業許可の取得にどのくらいの時間がかかりますか?
知事許可の審査期間は約30〜45日、大臣許可は約90〜120日が目安です(都道府県・繁忙期によって前後します)。書類準備期間を含めると、知事許可でも申請開始から許可取得まで2〜3ヶ月を見込んでください。
Q3. 建設業許可なしで500万円以上の工事を受注するとどうなりますか?
建設業法違反となり、3年以下の懲役または300万円以下の罰金の対象になります。さらに、違反業者の情報は公表され、元請け・発注者からの信頼を大きく損ないます。
Q4. 建設業許可は自分で申請できますか?行政書士に頼む必要はありますか?
自己申請は可能です。ただし都道府県の申請手引きは100ページを超え、経管・専技の経歴証明書類の準備には多くの時間と労力がかかります。書類不備による申請却下・補正指示も珍しくありません。本業(工事)と並行しての書類収集が難しい場合は、行政書士への依頼を検討されることをおすすめします。
Q5. 経営業務管理責任者の実務経験が5年に数ヶ月足りない場合はどうすればいいですか?
経管要件は「5年以上の経営業務管理経験」が原則ですが、「準ずる地位での6年以上の経営補佐経験」など複数の代替パターンがあります。また、現在の事業実績を積み上げて期間を満たす方法もあります。詳細は個別の状況によって異なるため、行政書士に経歴を詳しくお伝えの上ご相談ください。
まとめ:建設業許可取得の第一歩
建設業許可取得に向けて、今日から始められる3つのアクションを整理します。
- 6要件の自己チェック: この記事のチェックリスト(①〜⑥)で、自社(自分)の現状を確認する。特に「経管(①)」と「専技(②)」の経験年数・書類の有無を確かめる。
- 必要書類の棚卸し: 過去の工事請負契約書・注文書・確定申告書・資格証明書が手元にあるかを確認する。書類が少ないほど、収集に時間がかかる。
- 行政書士への相談: 「6要件の1つでも不安がある」「書類の量を見て自己申請は難しいと感じた」場合は、早めに専門家に相談する。要件の充足可否から書類収集のサポートまで対応できます。
2026-04-15 加筆: 専任技術者の業種別資格一覧表、書類収集〜許可取得までの月別スケジュール例、申請でよくある失敗パターン TOP5 と対策
参考資料
| 情報 | 参照日 |
|---|---|
| 建設業許可の仕組み(軽微な工事・許可の種類・有効期限) | 2026-04-14 |
| 建設業許可の要件(経管・専技・財産的基礎・欠格要件) | 2026-04-14 |
| 建設業許可の申請手数料 | 2026-04-14 |
| 令和6年度末の建設業許可業者数(統計) | 2026-04-14 |
| JCIP(建設業許可・経営事項審査電子申請システム) | 2026-04-14 |
| 建設業法における配置技術者となり得る国家資格等一覧(国土交通省) | 2026-04-15 |
| 保険証の提出の際のマスキング処理について(国土交通省) | 2026-04-15 |
